独立独歩。私は私。誰かに頼るつもりナッシング。それで良し。
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知っておられる方は多いと思うが、私は本の虫である。
今も本を読んでいる訳だが、今回買ってきた本はSF小説である。

題名は「彷徨える艦隊5 戦艦リレントレス」と言う。
異星人の謀略によって、地球人の子孫達が二つの陣営に分かれて戦い始めてから100年後の話。

永遠に続くような戦争の中で、両陣営とも互いに対する名誉も礼節も失い、ひたすらに殺しあう有様になっていたその時に、100年前の最初の戦闘の際に戦死したと思われていた艦隊士官が救出され、艦隊の指揮を執る事になり、その指揮官が次々と武勲を立てながら、自分達の陣営の領域目指して帰還する話である。

その小説の中で、アメリカンの戦争に関する倫理について語られる場面がある。
5巻の290ページからの記述。

ドゥエロス艦長「この百年間、アライアンスは何人かの人々が”必要だ”と主張することをやってきたが、戦争に勝つ様子はまるでない」
キラ艦長「やり方が手ぬるいからです!」「するべき事を行うのに、いつもためらいがあるのです。敵に情けは無用です。全く必要ありません。敵に相応しいのは死です。我々が一人残らず殺すつもりだと気付けば、敵は降参します。」
ドゥエロス艦長「降参しなかったら?」
キラ艦長「その時は全員殺すだけです。」
チュレブ艦長「じゃあ、僕も言わせて貰います。シンディックに何が相応しいか知りませんが、アライアンス市民をシンディックに殺されても、我々は降伏などしていません。かりに貴方の提案がアライアンスに実行可能だったとしても、大量殺戮をされたら、それをした相手に頭を垂れるという考えは、根本的に間違っていますよ」
キラ艦長「あなたの魂は惑星エリジアで死んだのです」

ドゥエロスは作者が自分の代弁者として設定した男性士官であり、キラはその恋人だったが今は敵対者になっている女性士官。チュレブは、敵の虐殺によって妻子と故郷(惑星エリジア)を失った艦隊士官である。
主人公のギアリーは、冷凍睡眠から目覚めたら、自分の身寄りも知っている人達も全員死んでいたと言う身の上。

ちなみに、キラは政治的な利得の為に、共に戦う同士である艦隊士官を乗っている艦艇ごと殺しても平気な人(?)であり、この台詞は艦隊の主力艦をウィルスで破壊しようとした事を詰問される場面での彼女の言い分である。

アメリカは対日本の戦いで特に”大量殺戮が相手を屈服させるのに有効だ”と勘違いしてしまった。
先の大戦で、日本は最初からアメリカと講和したいと願っていたのに、ごり押しで最後まで潰すつもりで戦争を長引かせた。
戦略爆撃、潜水艦による無制限通商破壊、最後は核攻撃まで行った。

その次の朝鮮戦争は陸軍による虐殺戦争であり、市民と都市、日本の残したインフラを徹底的に破壊する無益な戦争で、双方(南北朝鮮)ともすぐに疲弊して、今に至るも戦争がだらだらと続いているが、こんなのは無視。
その次のベトナム戦争では、全く講和を求めていない北ベトナムが、ナパームにも、戦略爆撃にも、枯葉剤にも耐え抜いて勝利をもぎ取った。
最近のイラクとの戦争では、息子ブッシュが日本をモデルとした民主化と無法国家の無力化を訴えて顰蹙を買っていたが、アメリカの首脳部は多分本気で”日本に対する戦争は成功例である”と判断しているだろう。

愚かな事だ・・・。私は以前に村松劭氏の「戦術と指揮」と言う本のコラムを取り上げた事があった。
東アジア共同体と言う悪夢・・・その4年後 | 復活!三輪のレッドアラート!
彼はアメリカの戦略爆撃によって、日本国内に凄まじい数の反米知識人が生まれた事を指摘している。
自衛隊の上級幹部はそう言う風にアメリカの戦略爆撃を総括している。つまり、結果として政治的、戦略的な失敗であったと。(だからと言って、中国の属国に日本がなるべきだと言う一味の軍事顧問になって良い筋道ではないけどね。)

『日本海軍 400時間の証言 第二回 特攻 やましき沈黙』を見て | 君のてのひらから
日本は戦後劣化したと言われるが、実は戦前から劣化していた。特に戦争を遂行する軍令部が劣化していた。
何の方策も無く、戦争を勝つための超兵器ばかりを求めた。

勝つ為の手段として、レイテの戦いで連合艦隊残存部隊を援護するために、大西瀧二郎提督(戦後責任を取って自決)が実行した特攻部隊。国と言う、自分の愛する者達を乗せた船を守る為に命を賭ける純真な若者達を、どんなに努力しても脱出できない死地に追い込んで、それを賛美さえした。
本当は、最初から人を捨て駒として、勝つ方策を考えられない自分達の無策を糊塗するための方便でしかなかったのに・・・・。

戦後の日本の左翼化は、アメリカの残忍すぎる戦争遂行と、日本の酷薄すぎる戦争遂行、その両方が戦争が終わり、呆然として復興に向かわなければならなかった日本人達の心に恐ろしい傷を付けたからに違いない。
先人達の無念さは、私の想像に余るのだとさえ思う。

私の知っている元職業軍人達は皆立派な人たちだった。彼等は戦争の事を思い出して涙する事は無かったが、無念さは一入だったのだろうと思う。
自分達が裏切られていた。あの戦争はまともな戦争じゃなかった。戦後にそれを知る事になったのだから。

ともかく、この小説は、終わり無き戦争を戦うアメリカと言う祖国に対してのメッセージでもあると思う。
多分、アメリカの文化人、言論人の多くは、この終わり無き戦争が”悪意ある異星人”によって仕掛けられたと気が付いているのだろう。

決して自分達では戦わない、”道徳観を超越した”と表現するしかない存在が戦いを仕組んでいると・・・。
この本を読んで、私はささやかな光明を見出した気がするのだ。

戦前のアメリカは、日本の最大の輸出先であり、今以上に貿易の軋轢が大きかった。アメリカンには日本人に対する怨恨が渦巻いていたのに、日本は強力な政治でそれを無視した。今の日本の政治を弱体化させたいとアメリカが願う理由は存在する。
しかし、もうそんな事をして遊んでいる暇は無いと思う。

アメリカには、違う日本への対応を考える必要がある。もう、日本との戦争は終わった。そうアメリカが思えない限り、アメリカは本当に没落してしまう可能性が大きいのだから。

この物語の途中、331ページの台詞、軍事クーデターの頭領になって欲しいと以前から部下にせがまれていたギアリーが、クーデター派の艦長を説得した後に、アライアンス傘下の国の副大統領が言う言葉。
「わたしたちはあなたのようになるべきだったのです。両親も祖父母も現実に負けて妥協し続けた。理想は尊ばれるべきです。それがわからないわたしではありません。そのつど状況に対処していれば、こんなことにはならなかったはずです。しかし、おわかりでしょうが、その点においてアライアンス政府も同罪なのです。」

国が間違った道を歩み始めた時。その時にどうすべきなのか?
腐敗しきった国を目の前に見せ付けられた時、その時にどうすべきなのか?
今の日本とアメリカに必要なものは、あるいは本物の人間に対する正しい評価なのかも知れません。

善と美に感動する余裕なのかも知れません。
思えば、我々の国は両方とも、戦前にそんなものに感動する余裕を失っていたのかも知れない。
腐敗は上部から発生している。それは間違いないが、実際、そう言う崩壊の過程を辿る組織と言うのは人類の歴史の中で実は少数派だったと私は思っている。
紀元前から上部の崩壊を繰り返していた中国と言う例はあるが、あれは特別な例であった。
ローマ帝国の版図では、一般市民の腐敗が国家の趨勢を決めていた。歴史を紐解けばわかる。

我々の国も、硬直化した政治に携わる者達と、利権官僚と化した軍人達が国の衰亡を決定付けた。
歴史はそう語っている。ため息しか出ない・・・。中国化は戦前から始まっていたのだと知れば、ため息しか出ない。

中国化とは、一般市民がゴロゴロと死ぬ易姓革命の無意味な繰り返しだと知っているから余計にため息が出る。
中国と言う国の呪縛を何とか逃れなければと気ばかり焦る。

少なくとも、アメリカンの文化人は良い意味での欧米回帰を明確に志していると言うのに日本は・・・・。
そんな事を考えると余計に滅入る。

まあ、今回のエントリーは、読書中に生じた感慨を書き連ねただけの事であるから、三輪のレッドアラートの本筋とは多少ずれているとは思うが気にしないように・・・・。
では、また次のエントリーで。
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明けましておめでとうございます
先日、三輪さんにご紹介賜りました「藤原氏の正体」を読み終え、現在は「蘇我氏の正体」を読んでる途中でございます。まだ読み終えていないのかと驚きになられるでしょうが、折角三輪さんがご紹介下さった本、ささっと読み通してしまっては勿体無いと思い、通勤電車の中でゆっくり少しずつ読み進めております。何れ他のエントリーでご紹介されてた「ケインズなら日本経済をどう再生する」も必ず読むつもりです。

三輪さんは非常にご多忙のようですが、時節柄くれぐれもご自愛ください。
本年も宜しくお願い申し上げます。
2010/01/09(土) 23:37 | URL | Nob #qIFa0De.[ 編集]
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