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世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL167 江田島孔明

 今回は、政局の真の焦点である、「都市と地方の対立」について、述べてみたい。

 まず、55年体制に見られる、自民党の長期政権は、経済政策や社会保障政策において、修正資本主義を採用し、中間層を分厚くすることで長期政権を維持してきた。
 自民党は、実は福祉や労働政策等において、野党の政策を先取りしている面もあったのだ。

 次に、自民党の果たした役割として、都市と地方の所得再分配機能が上げられる。
 簡単に言えば、一旦国に集めた税金を補助金や交付税の形で再度地方に分配することで、国土の均衡ある発展を図るという機能を果たしてきた。

 自民党の長期政権とは、「業界と官界と政界と地方組織が癒着した、一種の社会主義政権」とも言うべき実態を備えていた。日本は戦後西側の一員として、自由主義陣営に与していたという言い方がされるが、実態は大きく異なる。
 この様に、「内政の社会主義すなわちランドパワー体制」は、その淵源を太平洋戦争遂行のための国家総動員体制にまで求めることができる。

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<参考>
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・ 世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL80
 江田島孔明


 今回は、日本における「規制」の意味について考えて見たい。

 現在の政府による企業に対する規制のあり方は、太平洋戦争を遂行するための国家総動員体制から何ら変わっていない。

 太平洋戦争の残滓として、当時の企画院革新官僚が、ナチス・ドイツというランドパワーの戦争遂行体制を真似て作った、国家総動員体制(国家総動員法は戦争遂行のための物的・人的資源を一元的に統制・運用する強大な権限を政府に与えた法律)である。

 (注) 革新官僚とは、内閣調査局が企画庁となり、さらに日中戦争の全面化とともに、資源局と合して企画院に発展する過程で、総動員計画の作成にあたるようになる経済官僚のこと。内閣調査局時代から、企業の所有と経営の分離による公益的統制を主張して電力国家管理案を作成し、その実現に奔走した奥村喜和男(逓信省出身)の活動はその先駆をなすものであり、さらに40年後半の新体制論議のなかで、企画院案として提示された〈経済新体制確立要綱〉は、革新官僚の意図と方向を示すものとして注目を集めた。

 当時、革新官僚とは、岸信介商工次官、星野直樹企画院総裁ら、すでに満州国での経済統制の経験をもつ高級官僚と企画院の実務を担当している前記の奥村や、美濃部洋次(商工省出身)、毛里英於測(大蔵省出身)、迫水久常(大蔵省出身)らの中堅官僚をひとまとめにした呼称として使われている。

 革新官僚によって作成・推進された〈経済新体制確立要綱〉は、企業の公共化、ナチス的な指導者原理の導入による統制機構の確立、利潤の制限などを骨子とするものであり、これらの要求が〈革新〉の名で呼ばれたのであった。
 この〈革新〉性は財界などからの強い反発によって一定の後退を余儀なくされたし、また企画院に共産主義の影響ありとする企画院事件(1941)も、こうした〈革新〉性をけん制する意味を持つものとみられた。

 国家総動員法は、1938(昭和13)年4月1日公布、5月5日施行。この法律により、戦時における労務・物資・賃金・施設・事業・物価・出版など経済活動の全般について、政府が必要とする場合、議会での審議を経ることなく勅令等によって統制が可能となった。

 これにもとづいて国民徴兵令などの法令が制定、施行された。1941年改正強化、1945年12月廃止。しかし、この国家総動員法体制が、戦後も生き残ったのである。

 政府と企業の関係について、問題とされるのは「通達のような法律によらない規制」である。日本では他の工業先進国に比べて、法令化された規制の数が多く、その程度も強い。

 たとえは、日本では経済規制の対象となっている産業の経済全体に占める比重が41.8パーセントであるのに対して、アメリカではその半分の約19パーセントにすぎない。法令化されていない通達を含めると原則規制、例外自由ということであろう。

 基本が市場性皆無のランドパワーナチス・ドイツの戦時システムであるため、日本では、企業間の紛争、問題を市場の審判ではなく、行政の調停に委ねる場合が多い。

 内政のランドパワーという状況は何ら、戦前、戦後を通じて変わっていないのである。            

 このため、企業経営者には市場が見えておらず、当局の顔色を伺っていればよいという風潮が支配的であり、国際競争力があるとは言えない。結果として、産業別に所轄官庁が存在し、業界組織と族議員とが一体となって排他的に政策決定を行う「政官業」の癒着が強固で、飽くことなく毎度おなじみの政治と金の問題を惹起している。

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 90年代以降、自民党の単独政権が不可能となったのは、上記の社会主義体制が崩壊し、社会主義政党としての自民党が、その存在意義を失ってしまったためだ。では、なぜ、社会主義体制は崩壊したのか。これは大きく分けて、三つの理由がある。

 『社会主義体制の崩壊理由』:外圧、土地バブル崩壊、地方の空洞化

△1 一つは、アメリカの構造協議や年次改革要望書に代表される、「外圧」だ。

 第二対戦後、1980年代まで、冷戦構造の中、日本に対する保護育成方針をとってきたアメリカではあるが、ベトナム戦争以後、財政的にもたなくなり、大幅な戦略の変更に踏み切った。
 これが製造業をあきらめ、金融業により利益を上げるということであり、さらに国債を発行しその大部分を日系機関投資家が買うという構図つまり、日本の資本でアメリカを運営するということである。
 日本経済がおかしくなったのは1985年9月のプラザ合意以降である。プラザ合意とは、1985年9月にニ ューヨークのプラザホテルで開催されたG5(先進5カ国蔵相中央銀行総裁会議)における「ドル高是正のための協調介入」に関する合意である。
 プラザ合意後、円相場は「1ドル=260円台」から「1ドル=120円台」に急騰した。要するに、当時の「円安ドル高」を「円高ドル安」に誘導しようというのがプラザ合意であった。
 昭和59年末に、円ドルレートは1ドル=251円のドル高円安であった。これは第二次オイルショックによって国際資金をアメリカに集中させた結果である。1985年(昭和60年)に五カ国蔵相・中央銀行総裁会議(G5)がニューヨークのプラザホテルで開かれ、
(1)経済政策の協調をいっそう進める。
(2)為替レートの適正化のため、より密接に協力する。
(3)保護主義に反対する。
で意見の一致をみた。というよりも押し付けられたというのが真相であろう。

 この、「為替レートの適正化のため、より密接に協力する」、が問題であり、特にドル高を是正するため、アメリカを含めて各国は協調してドルを売り、円とマルクを買うという「協調介入」をするという趣旨の共同声明を発表した。日銀は大量のドルを売って円を買うという操作を行って、前日比11円90銭高の1ドル=230円10銭となり円は急騰した。
 昭和61年1月には1ドル=200円となったがこれまでは各国が合意したドル高修正である。その後、アメリカ政府高官のドル安容認発言の「口先介入」でドル安は進み昭和62年2月には1ドル=150円台となり、「誘導されたドル安」が「勝手に下がるドル」へと変質した。そして、パリG7はつぎの骨子の共同声明(ルーブル合意)を行った。
(1)各国は現行水準程度で為替相場を安定させるため、緊密に協力する。
(2)これ以上の急激な為替相場の変動は、各国の経済成長と構造調整を阻害する。
(3)現在の為替相場は、各国経済の基礎的条件とおおむね合致した範囲内ある。

 政策協調の一環として、日本は内需拡大対外黒字削減のための財政金融政策を続け、アメリカはGNPに対する財政赤字比率を圧縮し、西ドイツは減税規模を拡大するこのルーブル合意によって、円ドルレートはしばらく安定し、1ドル=140円台が厚い壁とみられていた。
 しかし1987年のブラックマンデー後、ドロールEC委員長の「アメリカは1ドル=1.60マルクを切るドル安を検討している」とアメリカのニスカネン前経済諮問委員長代理の「ルーブル為替安定合意の明確な中断が望ましい」の発言から、ルーブル合意による国際協調体制の足並みの乱れを読み取り、ドルは売られ、1ドル=140円の壁はいとも簡単に破られ、昭和63年には東京市場は1ドル=121円となり、1ドル=100円時代の到来が、にわかに現実化した。

 プラザ合意によって、ドルの切り下げによりアメリカは自国の借金の負担を軽減することに成功し、日本は大幅な円高を選択し製造業における競争力を放棄することを余儀なくされた。
 そのことにより日本は国際的に生産コストがドルベースで倍増することとなり、企業は国際競争力を維持するため生産拠点を海外に移すしかない状態となり産業の空洞化が進んだ。(日本の製造業は優秀だったため1ドル240円ではアメリカは太刀打ちできなかった。1ドル120円になり24万円の商品が1000ドルから2000ドルになりようやく太刀打ちできるようになった。この結果、日本製品は100%の関税をかけられたのと同様の事態になった。)また一方で、日本が数百兆円の公共投資を行い、国として大幅な債務を負うことを約束した。(これは後に1990年の公共投資基本計画でより一層具現化する。)

 このプラザ合意以降、日本の経済政策は完全にアメリカに対し従属を続けている。そして、不自然な円高を続けることによって内外価格差は拡大したままとなり果てしないデフレ不況に陥る遠因となった。
 デフレの理由はもちろん為替だけではない。しかし、このプラザ合意により為替を実質的に「放棄」した(させられた)ことが響いていることは間違いない。プラザ合意に続いて協調利下げがあったことも見逃せない。
 実際はアメリカ内でインフレによりバブルを起こそうとしたFRBが、金利差があると資金が日本へ流出することを恐れ、利下げを日本に強要したものと推定される。これが現在にいたる日本経済の根幹的破壊たるバブルを生み、不良債権を発生させたのである。
 当時のアメリカはランドパワーソ連との冷戦の真っ最中であり、アメリカに安全保障を依存している日本としてはアメリカの為替、金利圧力受け入れは安全保障コストであるという認識であったのであろうか。当事者はその意味を後世に明確に伝えるべきである。

△2 次に大きな理由が、80年代の終わりの「土地バブル崩壊」である。

 バブル崩壊後、地方の消費は急激に落ち込んだ。なぜ地方の消費は弱いのか?その理由は、土地バブル崩壊による資産価格の下落がある。

 たとえば毎月の給料が30万円で変わらなくても、持っている資産の価格が上がってゆけば、気持ちに余裕ができるし、財布の紐も緩みやすくなる。反対に、持っている資産の価格が下がれば、「ちょっと節約しなきゃ」という気持ちになる。とくに地方では、不動産と預貯金こそが安全な資産だという思い込みが強烈だ。

 いまの地価の下落は、こうした伝統的で保守的な老舗企業を直撃している。地方でよく聞くのは、土地を担保にしてビルを建ててはみたものの、テナントが埋まらず、固定資産税の負担が増えて、商売も厳しくなったという話。

 何代にもわたって豊かさを維持している家は、時代に合わせて商売を変えている。クルマ社会になるのを見越してガソリン・スタンドをやったり、フランチャイズの飲食店をやったりしてる。
 ところが、個人の消費がこれだけ弱くなってくると、もう消費の拡大を前提にした転進も難しくなってきている。先の参院選では、自民党の退潮が明らかになったが、私は地方の名士といわれてきた保守層の財務体質が弱くなっていることも、自民党の敗退につながったと考えている。

△3 最後に、少子高齢化や過疎の進展による、「地方の空洞化」が上げられる。

 このような状況の中で、自民党は抜本的な対策を打てず、むしろ、グローバル化や規制緩和の美名の下、郵政民営化に見られる、改革路線をとり、地方の切捨てに走った。自民党の本質を「業界と官界と政界と地方組織が癒着した、一種の社会主義政権」と見なすとこれは、自らの手足を切り捨てる行為に等しい。参院選の結果はこの事を如実に表している。

 では、このような矛盾を抱える都市と地方の問題を是正することはできないのか。私は、この問題の本質とは、「1次産業と3次産業の就業人口のアンバランスに起因」している点が多いと考えている。

 政治としては、1次産業を地方に任せ、3次産業を都市に集中させ、生活必需品であり、食糧安全保障にも直結する1次産業には、税制面で優遇を与えるべきなのだ。

 そうする事で、都市の余剰労働力が地方へと吸収され、都市と地方の問題の格差是正のみならず、既に40%を切った食料自給率の向上にも繋がる。

 世界史を見ても、例えば、古代ローマは生活必需品のオリーブを生産する業者は免税としたし、江戸幕府において、農民は士族に次ぐ地位を与えられていた。1次産業を何とか保護しようとうする姿勢が見られる。

 ただし、1次産業だからといって、過剰な保護政策をとれば言いということではない。民主党の主張する農家への所得保障は財源の点で問題があり、結局は、ばら撒きの域を出ない。

 他の業種と比べて、税制面で優遇するという程度にとどめ、その上で、競争を促すべきなのだ。

 問題は、この様な、人間生活の基本である「食」に関る業種に対する長期的な政策が無いことだ。例えば、戦後日本の農林漁業政策が上手くいかなかった背景には、一貫してその政策を作ってきた与党自民党が、「農業政策と農家政策の違い」を理解してこなかったからだ。

 国際競争力を持った強い農業を推進するためには、その規模をどんどん大きくしていかなければならない。しかし、このやり方は、農業政策としては成功であっても、農家政策としては失敗だ。

 なぜなら、一部の大規模農家に資本を集中し、低コストで安い農作物を生産してもらうことになり、競争力を持たない大多数の中小農家にとっては経営が成り立たなくなるからだ。経済政策としての「農業政策」と、社会政策としての「農家政策」とは、本来的に矛盾する。

 日本では中小の農家がほとんどだ。政府はこのような個々の中小農家を下支えする政策を取ってきた。小規模であるために農業だけでは成り立たない農家にも、公共事業や補助金を与えて、副業で生活を支える仕組みだ。

 しかし、それでは「業」としての農業はいつになっても強くならない。日本の農政は、この矛盾をずっと抱えてきました。これが日本の農業を中途半端な状態に置いてきた最大の原因だ。

 この矛盾を直していくために、徹底的に効率化と大規模化を進めたとしても、残念ながらアメリカやヨーロッパや南米やロシアとの国際競争に打ち勝つだけの農産物を生産することはできないだろう。しかし、現在の中小農家の下支え策では、一向に問題の解決には向かわない。


 環境問題の観点からも、1次産業は、見直される必要がある。

 この様に、従来型のやり方では限界が見えている1次産業の将来を握る鍵は、日本の有するバイオ技術や雨量の多い環境だと考える。民主党も所得保障を考える前に、税金を使った「バイオ技術」特許への懸賞金や研究資金投入を政策に掲げるべきなのだ。

<参考>
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 「食料自給率」 産地と消費者が連携を 2007/8/18

 食料自給率が2006年度、8年間続いていた40%をついに割った。農林水産省のまとめでは、供給熱量(カロリー)ベースで39%。「大台」割れは、冷害でコメが大凶作となった1993年度の37%以来二度目。2015年度までに45%に上げる政府の目標がかすんで見える。

 主要先進国の自給率(2003年)を見ると、237%のオーストラリアを筆頭にカナダや米国、フランスは100%を超す。
 ドイツの84%、英国の70%などに比べても際立つ低さだ。
 今からでも遅くない。輸入に依存する食の在り方を考え直すきっかけにしたい。

 自給率は1965年度までは70%台を保っていたが、その後は長期低落傾向が続く。急速に進んだ都市への人口集中に伴う「農業離れ」や、コメよりもパンを好むなど「食生活の欧米化」、貿易自由化による「安価な外国産品流入」が影響している。

 中でも農業の基盤弱体化が深刻だ。就業人口の減少や高齢化、農地荒廃や集落崩壊に歯止めがかからず、将来設計が描けない。
 条件の悪い中山間地域や離島が多い中国地方でも見られる通りだ。

 これまでの政府の対策が決め手に欠けてきた証しでもある。このまま農業が衰退すれば、水源かん養や国土保全、地球温暖化につながる二酸化炭素の吸収などの多面的機能も失われてしまう。
 効率性を優先させるだけでは、道を誤りかねない農業問題の難しさがある。

 もちろん自給率の低下は、広島市をはじめ都市部を中心にした消費者にとっても人ごとでは済まない。
 六割を超す食料を輸入に頼る日本で万一、海外からの供給がストップしたら…。
 世界人口の増加や中国とインドの経済発展が続けば、食料需要は一層増えることが見込まれる。日本が今のような輸入を続けられるのか、不透明だ。

 既に今、穀物在庫の一部が減るなど世界の食料環境が激変し始めているとの指摘や、2020年代には世界的な食料危機発生の恐れがあるとの専門家の予測もある。

 偽装表示など食品の安全性や信頼性を揺るがす事件も国内外を問わず続発している。価格より安全性を重視する消費者が増え、生産者の明示された農産物の流通や地産地消の動きは中国地方でも着実に拡大している。
 地道ではあるが、こうした取り組みを大切にしたい。バラバラに存在しているように見える食と農のつながりと大切さを実感し、都市住民と農業従事者が学び合うチャンスになる。

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<参考>

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 農業におけるバイオテクノロジー。 安全、豊富、かつ高品質な食糧を確保するために 2007年4月 EPA(米国環境保護局)フレッド・ゲンスナー

 バイオテクノロジー革命が始まったのは、1980年。米国最高裁判所が、遺伝子工学による人工的な操作が加えられた微生物に対する特許の可能性を認める判断を下した年である。
 この決定は、産業界がバイオテクノロジーを応用した作物や食品開発に注力する経済的な動機付けとなった。以来、地球上すべての人々の生活が変わることとなった。

 化学物質の安全審査や登録のための法的手続きはすでに整備されていたものの、遺伝子工学によって創出された生命体とそれに由来するたんぱく質などの有機物(以下、バイオ製品)の登場により、リスク評価における新たな課題が浮上した。

 バイオ製品の適格な安全審査を求める政府規制当局への要請と、消費者の懸念に応えるべく、私は1985年、EPA(米国環境保護局)に採用された。
 私の任務は、バイオ製品が市場に流通することによるリスクを評価するための試験法を開発することだった。

 このようにして私は、米国、カナダ、EU(欧州連合)などの国・地域の政府、学会の数千人の科学者と共に、バイオ製品の人体や環境への影響を調査することになった。

 「生存」「遺伝子移入」「非対象有機物への影響」「在来種の置換」「ヒトの健康への影響」「環境への影響」など様々テーマに関する数千ものレポートが科学者間の検証を受け、主要な学術出版物を通じて発表された。これらのレポートが提供する包括的なデータを活用することで、バイオ製品の使用に関する的確な判断が可能となる。

 以上の予備的情報をもとに、本文では安全で豊富な食品の供給を長期的に確保するうえで、日米両国で厳格な審査を受け認可されたバイオ製品がいかに貢献できるかについて論じていきたい。

 我々は、不確実な世界に生きている。食料の供給量・品質・価格は、干ばつや洪水、台風などの天災や、一部の科学者が唱える急激な気象変動(地球温暖化)によって、常にリスクにさらされている。
 深刻な植物の病気(イネのイモチ病、アジア大豆さび病、アワノメイガなど)や、動物の疾病(鳥インフルエンザ、BSEなど)も日本の食糧安全保障に脅威をもたらしている。

 環境が農作物や家畜に与えるストレスやグローバル化によって農作物の供給量や品質を脅かす既存の、または新たな病気の発生が増加することは確実である。
 このような自然の要因に加えて、戦争や、農業テロ(訳注:農作物や家畜へ経済的・社会的被害を与える行為)、公害や政情不安、人口増加に伴う農地の損失などの人的な要因が今後も食糧の供給量と品質に影響を及ぼしていくだろう。

 日本は必要とする食糧供給の多くを輸入に頼っている(熱量ベースで、全体の60%)。
 当然のことながら国民は食糧安全保障の問題を憂慮している。

 バイオテクノロジーの発展により、我々は食糧安全保障に対する多くの脅威から農作物を確実に保護する術を手に入れた。食料保護対策の重要な手段のひとつは脅威への迅速な対応である。従来行われてきた、望ましい形質を得るための選抜育種(交配)は時間のかかる非効率的なプロセスである。しかし遺伝子工学によって、それが迅速に正確に効率的にできるようになった。

 耐病性、耐干ばつ性、生産性の向上(世界的な人口増加に対応)、栄養価の向上、食品を汚染する可能性のある毒素のバイオ転換、有害殺虫剤・除草剤の使用削減、収穫後の安定性。
 これらは遺伝子工学が食糧安全保障に係わる問題の解決に貢献した例である。これまで、これらのバイオ製品が従来の交配技術で得られた作物と安全性において異なることを示す証拠はない。

 米国において食品安全性確保の責務はEPA、FDA(食品医薬品局)及び農務省が担っている。日本に輸入されているバイオ製品に関しても、米国の科学者による厳格かつ包括的な安全審査・評価が完了している。

 米国においてバイオ製品の認可を取得するには、製造者がすべての安全性上の問題に対処しなければならない。推定によると、米国の店に並ぶ食料品の70%以上がバイオ製品を原料として使用している。

 いまも消費者保護団体がバイオ製品に対し厳しい目を光らせ、積極的に関与しているにもかかわらずこの高い数値を得ていることは、米国の消費者がバイオ製品を広く受け入れていることを表していると言える。

 また、米国におけるバイオ製品の認可に関し、米国内市場向けと輸出市場向けに異なる安全性基準は存在しない。

 日本においても、追加的な消費者保護対策として、バイオ製品に関する規制システムが機能しており、食料・飼料・花など190種類のバイオ製品が認可されている。
 しかし、日本の規制システムには(例えば、科学的に正当化できない食料・飼料の審査手順や、認可された製品に無認可の製品が微量混入した場合の、許容値がゼロであることなど)貿易を阻害し、ひいては投資や科学の進歩の足かせとなる要素が存在する。

 日本は、世界の農業市場で大きな影響力を持っており、日本の意向如何でどのバイオ作物が作付けされ、どの作物が作付けされないかが事実上決まってしまうと言っても大袈裟ではない。

 バイオ製品の使用・摂取については多くの批判や不安が聞かれるが、そのほとんどは根拠がないか、誇張されている。実際、バイオ製品のもたらす健康上のリスクは、元来の食品と同じ性質のものである。

 アレルギー、毒性、栄養素の吸収を妨げる化合物などは、バイオ製品の問題点としてよく取り上げられるが、それらは遺伝子工学により出現するものではなく、元の食品に内在するものである。

 例えばピーナッツや大豆、小麦にアレルギーを持つ人は多く。アオイマメには、元来ヒ素化合物が含まれている。
 また、ほとんどの種子と穀類には、フィチン酸塩が含まれている。フィチン酸は、さまざまな重要なミネラルと結合し、食品の栄養価を損ねる物質である。

 さらに言えば、我々が摂取する食品中の遺伝子は体内に吸収されたり、その特性が現れたりすることはない。
 他の栄養素と同様、単に消化されるだけである。
 当たり前のことだが、豚肉や魚を食べたからといってヒトが豚や魚の特性を取得することはないのである。

 特筆すべきは、バイオ製品は流通の前に開発者のリスク評価を経ているという点である。従来の製品(交配作物等)では、このようなリスク評価は通常行われていない。懸念となりうるすべての問題について、バイオ製品開発者は調査研究を実施し対応している。
 好ましくない特性が現れた場合には、開発段階で改善され、問題が完全に解決されるまでは製品の流通が許可されることはない。

 以上のことから科学者は人々の利益のためにバイオ製品を開発しているという事実を理解していただければ幸いである。
 決して危害を加えるためではない。同様に貿易は食糧安全保障に貢献するものであり、それを損ねるものではない。
 この不確実な世界で安全、高品質かつ栄養価の高い農作物の供給を確保し続けるためには、一般の国民・消費者が農業従事者や科学者を信頼し支援することが不可欠である。

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 (注) フレッド・ゲンスナー博士は、EPA(米国環境保護局)の微生物学者である。現在は、在日米国大使館(東京)の科学研究員(フェロー)を務めている。
以上
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コメント
この記事へのコメント
農業は日本の搦め手
軍事力による安全保障を正面とするなら、農業分野は城の搦め手ですね。ここを他国に依存させればどうしても自主自立路線はとりにくくなります。

アメリカが援助物資の小麦を引き続き日本に売り続けるために、学校給食をパンに切り換えるよう圧力をかけ文部省がこれに従ったという事例などが典型です。これによって洋食に抵抗がなくなった戦後世代は米の消費を減らし続け、自給率の低下や減反による離農の増加を産みました。ご指摘のような円高がこれに拍車をかけましたね。

グローバリストに操られている自民党が、ひたすら農業自由化や中国の富裕層への農産物輸出を唱えていたのを見て、私はもう自民党はダメだろうなと確信しました。昔の自民党はGATT(グローバリスト団体)の圧力に全力で抵抗し、それによって農家の支持を得ていたからです。今の自民党政権は穀物メジャーやモンサントの下請けとしか思えません。自民党としては農業の効率化集約化で自給率も上がると吹聴していますが、以前孔明さんがおっしゃっていたように、株式会社化によりコメが投機の材料にされて日本の食料政策は壊滅するでしょう。

まあ、しかし農政に全く改善を施さなければ、グローバリストに攻撃を受けやすくなるのも事実です。本文にあるような技術革新へのインセンティブ付与(補助金という形にしないのは敵に口実を与えない意味でも正解)は有効でしょう。同じような減税は、有機農法に対しても使えます。手間はかかりますが利幅はあるので、慣行農業との価格差を縮めるために、有機農家は思い切って非課税にするのです。そうすれば、小規模の農家でも生き残れるし、新たに就業する農家も大規模な設備投資は不要になります。

また、地方で地元農産物を購入できるクーポンを導入する手はどうでしょうか。地産地消が促進されれば自然と地方経済が自立的になりますから、人口も減らずに済むはずです。

自分の選挙区の農家だけ助かればいいと考えている自民党カイカク派や、とにかく利益を出せればよい外食産業従事者が多い公明党の論理に任せたら日本はおしまいです。
2007/08/24(金) 08:14 | URL | ろろ #2pDzSWe2[ 編集]
農業人の端くれとしてやはり日本の農業を取り巻く状況の厳しさには危機感を強く感じております。

僕のスタンスとしてはなるべく農業、農家の自立を考えて行きたいんです。
特に専業農家をもっと元気にしなくてはいけないと思います。

最近、僕が注目しているのはやはり消費者と生産者の連携ですね。

僕のブログでも書きましたが都市部と農村の積極的な交流が必要だと思うのです。

また、バイオ燃料などの他に飼料化と言う方法も研究を進めてもらいたいですね。
日本の飼料自給率もかなり低いですからね。
バイオ燃料の影響でコーンが値上がりしていますが、真っ先に影響受けたのが畜産ですからね。
2007/08/24(金) 10:02 | URL | 農民 #L9s05DP.[ 編集]
ろろさん、農家さん、おっしゃるとおりです。農水省も自作農政策を放棄したし、農地への外資投入や農民の派遣業化も時間の問題です。日本の底が抜けてしまします。
世界的な環境の悪化で農作物ができる地域は限られるでしょう。日本では北海道が有望です。北海道を農業基地に育成する必要があります
2007/08/24(金) 20:08 | URL | 孔明 #-[ 編集]
孔明さん
>北海道を農業基地に育成する必要があります

  冷涼地は農薬を使う量が少なくて済むし、温暖化しても環境の激変に晒されることもない・・・確かに有望です。
  あと、小沢の地元である岩手も素晴らしい条件が整っていますよ。土地は豊富だし、高原地帯だから気温も低い。小麦の生産をもっと増やしてもいいんじゃないですかね。小沢もその辺を見越して、自給率100%なんていうアドバルーンを上げているんだと思います(実現不可能な数字だということくらい分からない政治家ではない)。

  自給率というのは、政局の材料としてもいいと思うんですね。共産党も国民新党も同じような政策を謳っている一方で、自民党はこの問題については逃げ続けていますから、次の衆院選で争点にすれば、北海道、東北、四国で大勝は間違いありません。
  北海道で町村か中川昭一、四国で塩崎の首を取れば、自民党もほぼ壊滅でしょう。東北と四国は、自民党から寝返りすら見込めます。
  明治維新でグローバリストの傀儡である薩摩長州に虐殺された真の保守が息を吹き返すチャンスなのではないでしょうか。関ヶ原同様、実体経済の東日本が投機経済とグローバリズムの西日本を破る時が来たということです。
  小沢は今のところうまくやっているようなので、農業分野についても期待したいです。
2007/08/24(金) 21:21 | URL | ろろ #2pDzSWe2[ 編集]
農業の東日本と商業の西日本の分業は鍵になるでしょう。間違いなく・・・この両者は歴史を通じ、別の国だったことを教科書に書くべきです
2007/08/24(金) 22:01 | URL | 孔明 #-[ 編集]
面白い・・・
>この両者は歴史を通じ、別の国だった
>ことを教科書に書くべきです

  やっと謎が解けましたよ。なぜ、織田信長が平氏(厳島神社を氏神とする広島の豪族)を名乗っていたのか。彼は、西日本の人間なんですね。要するに、シーパワー人間なんだと。
  翻って、源氏の流れを汲む家康は、頼朝同様東日本で幕府を作りました。彼はランドパワー人間なんですね。
  この両者の文化は、合理性(信長)と大地への愛着(家康)という風にくっきり分かれています。そして、この競り合いが日本の歴史のダイナミズムを形成していたのですね。そして、地殻変動の舞台はいつも関ヶ原周辺です。あの辺は、料理の嗜好や言葉遣いが関東と関西の混在らしいです。ヨーロッパで言えば東欧のようなところなんではないでしょうか。
  両者の結節点である近畿に、まるで振り子の支点のように「朝廷」がいるというのも、意味があるんでしょうね。

  ちなみに、私は江戸っ子でして、以前は西日本の文化に憧れた時期もあったのですが、今はもうすっかり東日本の方に回帰しましたね。おそらく、会津藩の最期をどう感じるかで、その辺が分かれてくるような気がします。
  孔明さんは東の方という気がするのですが・・・気のせいでしょうか?(笑)
2007/08/24(金) 23:18 | URL | ろろ #2pDzSWe2[ 編集]
日本の文明はランドパワーとしーパワーのハイブリッドです、縄文と弥生、東日本と西日本、唯一日本こそが両者の対立を止揚できるんです
私自身、東西のハイブリッドです
2007/08/24(金) 23:29 | URL | 孔明 #-[ 編集]
TBです
「東西対立」の基軸は、西の中央集権志向・東の地域主義という国家統合の違いにあると考えています。
http://sun.ap.teacup.com/souun/952.html

2007/08/25(土) 00:56 | URL | 早雲 #-[ 編集]
為替レートと日本の景気の関係について
 こんにちは。為替相場に関する件で前々から思っていたことをコメント蘭に書こうと思いましたが、少し長くなったので、自分のブログに書いてみました。
http://konn.seesaa.net/article/52680135.html
2007/08/25(土) 16:18 | URL | こん #-[ 編集]
世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL168
    
                           江田島孔明

今回は、米国でのサブプライムローン問題に見られる株価下落と、シーパワー連合の将来について検討してみたい。私は、数年前より、アメリカが製造業を捨て、金融業中心の産業構造をとっている以上、いつかは、バブルが崩壊すると睨んでいた。そして、バブル崩壊後、アメリカは大恐慌以前の状態に戻るとも考えていた。90年代はインターネット、2000年代は住宅ローンで、それを何とか先送りしてきただけだ。

株が下がったのっで、為替に資金が向かっている様だが、為替は株以上に実態が無い、操作がしやすいものであることを忘れてはいけない。何故なら、株は会社の財務諸表に対する監査や規制である程度は粉飾を担保できる(完全ではない)。しかし、為替の前提となる通貨は中央銀行による発行が担保されているだけで、その発行量や価値については、何の裏づけも無い。つまり、FXを始め、為替への出資は「国家公認の賭博」とも言える。素人が手を出すには危険すぎる。

<参考>
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今週の見通し・為替 円高方向に振れやすく
 今週の円相場は円高方向に振れやすいとの予想が多い。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題をきっかけにした金融市場の動揺はやや落ち着きを取り戻したとみられるが、市場には依然として警戒感がくすぶる。サブプライム問題の悪影響が明るみに出ると投資リスクを回避するために、これまで売っていた円の買い戻しが加速するだろう。

 市場参加者の予想は1ドル=112―117円程度に集まっている。

 市場がいつ落ち着くか不透明ななか、各国の金融当局者が市場の現状や今後の政策運営についてどのような見解を示すかが注目だ。今週はトリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁の発言のほか、週末にはバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の講演も予定されている。前週の金融政策決定会合で利上げを見送った日銀も、福井俊彦総裁をはじめ政策委員の発言が集中する。当局者の見解を受けて、円相場は振れやすくなりそうだ。

 月末にかけて外貨建て投資信託の設定が多く予定されており、円の下支え要因になりそうだ。

[8月26日/日本経済新聞 朝刊]
(8/26 7:00)
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http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20070821mh06.htm
[投資信託概況]サブプライム 国内にも影響
 7月の国内株式市場は、国内外の好調な経済指標を背景に
、上旬は堅調に推移した。しかし中旬以降、低所得者向け住宅ローン「サブプライムローン」の焦げ付き問題で米国市場が急落し、国内市場も下落した。
 新潟県中越沖地震や円高・ドル安基調で輸出関連株が売られ、下落に拍車がかかった。7月末時点の東証株価指数(TOPIX)は、前月末比でマイナス3・87%となり、ジャスダック指数など新興市場の株価指数も全体的に下落した。
 こうした中、大手商社、機械や海運などの個別銘柄を多く組み入れた投信の騰落率は辛うじてプラスとなり、上位に入った。
 サブプライムローン問題による国内外市場の動揺は、しばらく続きそうだ。日本や欧米の中央銀行による資金供給で、落ち着きを取り戻せるかどうかが、今後の注目点となるだろう。(大和ファンド・コンサルティング 矢口徹)
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まず、今日の事態を考えるに、アメリカにおける国際金融資本の支配というものを、歴史を遡って、考える必要がある。

アメリカを建国した人たちは、ピルグリムといわれる、キリスト教の最保守であった人たちだ。彼らは、農業を基盤とするキリスト教原理主義社会を理想として、新大陸に渡った。彼らがアメリカの基盤を築いたのだ。今でも、中部では、このような勢力がかなり、強固だ。彼らは、欧州からの孤立主義を原則として、農本主義、白人主義という特色をもつ。そんなアメリカが国際金融資本の支配下に入ったのは1929年の大恐慌から第二次世界大戦にいたる過程だ。極論すれば、大恐慌から第二次大戦は全て、彼らが、「アメリカの支配権を得るためのプロット」だとさえいえる。
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http://www.teamrenzan.com/archives/writer/edajima/post_168.html
これは、アメリカ民主党とソビエト共産党が、同じように国際金融資本によって企画され、立ち上げあれた実験的管理国家だということを理解すれば、分かるであろう。
国際金融資本はレーニンに資金援助を与え、ロシア革命を起こし、米ロ両国の連絡役にドクター・ハマーと通称されるユダヤ人、アーマンド・ハマー(アメリカ共産党の創始者の息子)を任命した。一九二○年代早々のことである。ハマーはモスクワに数年間滞在し、レーニンを含むソ連の最高幹部と親密な関係を結ぴ、また、アメリカ情報部がソ連の大物スパイとみなしていたロシア人女性と結婚した。ハマーは、一九九○年に死去するまで、七○年にわたって米ソ間を数え切れないほど旅し、ソ連のトップと、アメリカの指導層を結ぴつけているが、彼はまたADL(すなわちプナィ・プリス)と緊密な関係にあるといわれる。
歴史的背景として、アメリカがシーパワーとして名乗りを挙げたのは、第一次大戦の戦勝国になり英国に対する多額の借款を保有したからだ。かの国は、本来、建国の理念であるモンロー主義(孤立主義)を国策として欧州への不介入を貫くはずだったのだがこの戦略転換の背後になにがあったのか?私はアメリカにおける金融資本家の政策への影響を看過できない。
 1929年NYで発生した大恐慌の結果、世界がブロック化していく中で日独といった後発資本主義国が武力に訴え生存圏を確保しようとする端緒となったしかし、大恐慌そのものの評価について、世界経済に与えたインパクト以上にアメリカにおける連邦政府の存在がクローズアップしてきたことは看過し得ない事実である。もともと、合衆国とは州に主権があり各州の主権を制限しない範囲で連邦に外交や安全保障を委ねてきたのである。そして外交的孤立(モンロー主義)を国是としていた。しかるに民主党のルーズベルト大統領のとったNewDeal政策は連邦主導の経済政策であり、この時期FBI、FRBを初めとする連邦諸機関が創建され強化されているのである。まさしくアメリカにおける連邦主権の管理国家が完成したのがこの大恐慌期なのである。
建国の父たちの理念、州の連合により中央集権ではないキリスト教原理主義に基づく理想郷を築くことはこの時期死んだということが言えよう。ルーズベルト大統領のとった政策は違憲判決が多数出されていることも忘れてはいけない。
 この視点は決定的に重要である。その後アメリカは連邦政府に引き連られモンロー主義という伝統的孤立主義の国策を捨て、世界に市場を求め、干渉していくのである。戦後の海外への米軍展開、駐留は合衆国憲法になんの根拠もない。そして、本来根拠がない事項は州に留保されるとの憲法上の規定(修正第10(州と人民の留保する権利)本憲法によって合衆国に委任されず州に対して禁止されなかった権利は、各州と人民に留保される。)があるが、米軍の海外駐留展開に対して州が同意を与えた形跡はない。はっきりいえば、海外市場獲得のため、NYの金融資本家がワシントンを通じて、アメリカを操作する契機を与えたのが大恐慌なのである。そして、彼らの究極の目的は中東と中国である。
 そして、国際金融資本は、当面の敵である、ナチスドイツを打倒するため、アメリカを欧州に参戦させる必要があった。しかし、アメリカの世論は、徹底的に反戦であり、ルーズベルトは、参戦しないことを公約にして、選挙に勝っており、欧州への参戦は、簡単にはいかなかった。
 そこで、注目されたのが、ナチスドイツと同盟関係にあった日本だ。 国際金融資本は考えた。日本をアメリカにぶつけ、アメリカを参戦させれば、対独戦は勝てる。ソ連にとっても背後を日本につかれる恐れがなくなるため、願ったりだ。毛沢東や蒋介石にしても対日戦勝利の可能性は高くなるだろう。
 このような中で発生したのが、朝日新聞記者尾崎秀実とソ連のスパイ、リヒャルト・ゾルゲによって起こされた「ゾルゲ事件」だ。
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 その面での参考書を一冊、紹介しておきたい。「文明の衝突」で有名なサミュエル・P・ハンチントンの「分断されるアメリカ」
(Amazon<http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087734056/studymirai-22> の紹介ページへ)。

 彼が捉えた“分裂”は、第一には、「米国の信条」をめぐる分裂だ。
 「米国の信条」とは、大雑把に言うと、純粋な民主主義国家として成立した米国がプロテスタントの教えをベースに打ち立てた社会システム、共通の価値観ということになるであろう。それを至上のものと考え、守っていこうと考える人がいる一方で、必ずしもそれを絶対視しない人も増えていることが、問題の第一歩と捉えられている。
 ハンチントン自身は前者の立場に立っているわけですが、米国の信条を尊重する一般大衆と、それを軽視する政界、産業界、学界などの指導層、インテリ層との分裂が指摘されている。

 しかし、ブッシュ政権を支えてきたネオコン(新保守主義)と呼ばれる人々は、「米国の信条」の極端な信奉者で、国内でそれを守るだけでなく世界中に「布教」しようと考えている人たちと捉えられる。
 2003年に大ヒットしたSMAPの「世界に一つだけの花」は、反・イラク戦争のメッセージとしても受け止められたが、イラク戦争を主導したネオコンの人々は、米国の存在こそが世界に一つだけのオンリー・ワンだと考えている。

 ただ、ハンチントンが問題視しているのは、ネオコンの台頭ではなく、むしろ「米国の信条」を軽視する風潮の方だ。
 その風潮が、ヒスパニックと総称される、中南米、カリブ海諸国からの移民の急増と重なると、従来とはまったく異質で、より深刻な“分裂”が進むというのだ。近年のヒスパニックの移民は、「米国の信条」を軽視する風潮もあって、英語の使用や「米国の信条」への忠誠を強要されず、そうした人々が急速に増えてきていることが、国家としての「アイデンティティの喪失」にもつながりかねない深刻な“分裂”につながるという見方だ。

この様に考えると、イラク戦争の敗戦で、アメリカは国家戦略を大恐慌時代以前、すなわち、「モンロー主義の時代に戻る」可能性が高いと予測される。何故なら、アメリカという国は、実は南北アメリカでブロックを作り、鎖国することも可能なのだ。

 そして、アメリカの保守派や原点(ピルグリム・ファーザーズ)は、欧州を嫌って渡米した点をみてもわかる様に、伝統的に孤立主義者であった。第二次世界大戦以降、国際金融資本に乗っ取られ、世界(主に、中東と中国)に干渉していただけなのだ。

 当たり前だが、資本主義経済では、オランダのチューリップ球根事件、イギリスの南海泡沫会社事件のように、バブルは必ず発生する。バブルが経済を牽引する効果もあるから、悪い訳ではない。むしろ、国際金融資本の支配である「資本主義」はバブルと表裏の関係であり、バブルは本質的に詐欺や破綻を内在する。資本主義の根源である「株式会社制度」は国際金融資本の発明だ。

<参考>
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アダム・スミスが指摘した株式会社制度の胡散臭さ
http://www.president.co.jp/pre/20040614/002.html
 「アダム・スミスが『諸国民の富』を書いたのは、18世紀後半の1776年。株式会社の勃興期でもあった。このアダム・スミスが、株式会社は胡散臭い制度であり、株式会社をあまり普及させるべきでないと主張していたことはあまり知られていない。
 実際に株式会社の草創期には、胡散臭い出来事が頻発している。イギリスで起こった事件の中でもっとも有名なのは1720年の南海のバブルと呼ばれている南海泡沫事件である。この事件はガバナンスの問題というよりも、株式会社という新しい制度を使った詐欺事件であったと考えたほうがよい。南海会社は、英国政府の国債を引き受け、その代償として中南米のスペイン領植民地との貿易の独占権を与えられた会社であった。1720年4月、会社の工作によって、政府はこの会社に3000万ポンドの国債を引き受けさせるという議案を、議会に提案・承認させた。これがきっかけになって、南海会社の株価は一気に10倍に暴騰した。南海会社だけでなく、他の会社の株式も暴騰し、証券市場はバブル状態になった。しかし6月下旬をピークに株価は暴落し、多くの市民が被害を受け、この事件は政治的スキャンダルにまで発展した。
 アダム・スミスは次のように書いている。「株式会社の事業は、つねに取締役会によって運営されている。もっとも、取締役は、多くの点で株主総会から規制されることがしばしばある。しかし、株主の大部分は、会社の業務についてなにごとかを知ろうとはめったに主張しないものであって、自分達のあいだに党派心でもはびこらぬかぎり、会社の業務の世話などやかず、取締役が適当と考えておこなう半年または1年ごとの配当をうけとり、それで満足しているのである。
 一定限度の額以上にはなんの煩労もないというこの事情が、合名会社にどのような事情があってもあえて財貨を投じたがらぬ多くの人々を奨励し、株式会社にたいする冒険者にならせる。したがって、このような株式会社は、どの様な合名会社もおよびもつかぬほど大きな資本を自分のほうへひきよせるのである。……」(『諸国民の富』岩波文庫 大内兵衛・松川七郎訳(四)91-92頁)。・・中略・・
 アダム・スミスが株式会社に懐疑的だったのは、株式会社に二重の無責任があるからだ。一つは、経営者の無責任(個人資産を経営に投資していない)、もう一つは、株主の無責任(出資額以上の責任を負わない)である。この二種類の無責任が相乗したとき、実に深刻な問題が起こる。日本でも二重の無責任が深刻な問題をもたらした例があった。

 日本では、日清戦争後に第二次株式会社ブームが起こった。こうして勃興した会社のいくつかは、第一次大戦後の不況で破綻した。高橋亀吉は、大正から昭和にかけて破綻した21社の分析をもとに、破綻のパターンを表のように六つに分けている。破綻のパターンは多様だが、根本的な原因は一つであるといってもよい。高橋亀吉はそれを次のように書いている。「株主の専横から蛸配当を強いられ、かくて事業を破綻に導いた」という原因である。これをもたらした経営者の気持ちを福沢桃介は「株主の利益をはかるためには自分の手足を食いつくす蛸のように、無理な配当もやむをえず」と表現している。
 高橋亀吉はこうした問題の解決策として、重役の無限責任制度の導入を主張している。第一生命保険の創業者である矢野恒太も銀行業界や保険業界では、役員の無限責任制度を導入すべきだと言っている。
 実際に、矢野恒太の属する生命保険業界では、株主の意向を受けた近視眼的経営が数多くの破綻を招いた。1893年から98年にかけて設立された37社の生命保険会社のうち、昭和のはじめまで営業を続けていたのは14社にすぎなかった。生き残ることができたのは、長期的視野を持つ株主(無限責任を持つ財閥会社)に株を持ってもらい、経営の自立性を高め、短期志向の株主による経営介入を抑えることができた会社である。」

 いかがであろうか。アダム・スミスの言う「何も知らないし、出資限度以上の責任を負わない株主」と「いざとなったら辞めればすむ、有限責任の取締役」の組み合わせが、結果として無責任体制から粉飾や詐欺を生む可能性について、ライブドアやカネボウあるいは米国のEnronやWorldComの事例を知っている我々は、アダム・スミスの警句を素直に受け取れるのではなかろうか。
 ではなぜ、このような側面をもつ株式会社が現在にいたる、シーパワーの生み出した資本主義の根源として機能しているのか。それは、シーパワーというものが本質的に詐欺、バブル、インフレといったものを内包しているからだ。むしろ、このような負の面と、経済発展は表裏一体というべきだろう。
 資本主義にバブルはむしろつきもので、今後も第二第三のライブドアは出るだろう。「債権」や「資本」というのはそういうものだ。むしろ、商売とは、「相手を騙して高く売る」ということを本質的に内包し、そのために、ランドパワーの世界、例えば、カソリックや儒教の強い地域では穢れとされ、低い評価しか与えられない。

 江戸期の日本において、士農工商という序列があったのはそのためだ。英語で利益や金利を意味するInterestには「間にある」つまり「どっちつかずのいかがわしいもの」という意味が内在されており、カソリックはこれを認めていなかったが、これを認めたところから資本主義は始まったといえる。
 ちなみに、イスラム教では、今日に至るまで、金利をいかがわしいものとして、認めていない。日本では江戸期において、このようないかがわしい金利をとる金貸しは検校という制度を設け、盲目の僧侶にだけ認められていた。一種の社会福祉政策だ。
 はっきり言おう。シーパワーとはいわば、「債権的支配」を目指すもので、金貸しを合法化し、金利の取得や株式の発行そして通貨の発行にいたる、いわゆる「資本主義」を発明した海上交易者であり、その原点は多国間に点在して拠点をもっていたユダヤ人であり、その基本書はタルムードなのだ。
 私はかって、ランドパワーの基本書は「孫子」だといったが、シーパワーの基本書は「タルムード」だということを特筆したい。タルムードには、「非ユダヤ人は騙してもよい」と書いている。これが、金利や為替そして株式会社に繋がるシーパワーの原点だ。

 問題は、日本はこのようなタルムード的支配を、16世紀に受けかかり、それを秀吉や家康は排除した訳だが、そのため、シーパワーの根幹を成す、「資本市場」が極めて未整備であり、むしろ、内政は一貫してランドパワーそのものだということだ。
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そして、上述の様に、アメリカを食い尽くした国際金融資本は日本を狙っている。それが金融ビッグバンや郵政民営化を始めとする構造改革だ。国際金融資本はある国を乗っ取る時に必ずバブルを起こし、破綻させ、資産を底値で買い、貨幣鋳造権を手に入れることで支配を完成させる。

ここまでを知った我々が手を拱いていれば、日本で今後起きることは、1929年以降のアメリカで起きた事が再現されるであろう。歴史に学ぶ必要がある。

国際金融資本という、メフィスト・フェレスに対抗するには、「己を知る」事が必須だ。明治の先人はこの事を和魂洋才と呼んだ。ローマが滅んだのも、異端のキリスト教を受容し、傭兵にまかせ、享楽にふけり、ローマの質実剛健な美徳(virtu)を失ったことによる。
己を知らぬ者は、簡単に外国に利益誘導される。

新春特別企画で詳述したように、戦前から現在まで、日本のエリートが簡単に外国の代理人になってしまうのも、同じ理由であろう。

次に、国際金融資本の反対勢力である米軍との紐帯を太くすることだ。

私が数年前から述べてきたように、イラク戦争の敗戦に伴うイラク撤退が現実のものとなろうとしている。今後、米軍は連邦政府に対して、批判勢力として、シビリアンコントロールに服することがなくなるかもしれない。米国憲法は、人民の抵抗権を認めている。つまり、政府が売国奴に支配された場合、武力蜂起をして、政権を奪回してもよいのだ。

アメリカ人とアメリカ軍がイラク戦争をはじめとする第二次大戦後の大規模な戦争の真の意味と国際金融資本の関与を知ったとき、何が起きるか。私はそこに注目している。

アメリカの強さとは、ソフトにある。ソフトすなわち、頭脳は、アメリカという土地に根ざしたものではない。私は、アメリカの上位0.1%の優秀な頭脳(これは、現在まで、インターネットや原爆やアポロ計画を実用化してきた)の奪い合いが始まると見ている。日本はこいつらを国費を投じて、積極的にリクルートすべきだ。そして、シーパワー連合のソフトを日本が支配する。日本の技術者と案理科の上位0.1%が組めば、不可能ではない。さもなくば、彼らは北京に連れて行かれる。

アメリカは、ASCIプロジェクト(Accelerated Strategic Computing Initiative)等を通じて、巨額の予算をつぎ込み、超高速コンピュータを開発し続け、ここ10年間は、世界最速コンピュータの地位を維持してきた。これが、日本の「地球シミュレータ」によって崩された。(スーパーコンピュータリストによると、現在は世界20位)

最近は、バイオテクノロジー、環境シミュレーション、気象予測、自然災害予測、航空宇宙といった多くの科学技術分野の研究では、コンピュータによるシミュレーション技術が主流となりつつあり、これには、膨大な計算量を必要とする。

アメリカは、「強いアメリカ」を目指し、コンピュータ、科学技術の分野でも世界のリーダシップを獲ることを使命としている国であり、アメリカは、さらに研究投資を増やし、ハードウェア、ソフトウェア両面の研究開発を増強することが予想される。

一方、日本のスーパコンピュータ・メーカーは、その市場が小さく、高度な技術を維持するのに四苦八苦している。スーパコンピュータは、コンピュータ技術の先端を牽引し、それにより、わが国のコンピュータ技術全体をレベルアップする役割を果たすものである。このような技術が消えてしまわないような、科学技術計算用やより汎用性の高い超並列マシン研究への国の研究投資が望まれる。

戦場無人化とネットワーク化すなわちRMAと米軍再編でネットワーク化が進む以上、今までにも増して軍事戦略においてソフトの重要性は増す。シーパワー連合として、アメリカの変わりに日本が頭を張る以上、これは、必須になる。これができることが、環太平洋連合成立の基盤となる。

防衛省の情報漏えい問題も、この様な視点で考える必要がある。軍隊のネットワーク化が進み、情報共有が進むほど、同盟のあり方は、根本的に変わってくる。ネットワークのセキュリティレベルに差があったら、そこから情報が漏れるし、中枢まで、侵入を許すからだ。これは防ぐには、二つの方法しかない。

① 不備がある同盟国をネットワークから切り離し、同盟を解消
② 不備がある同盟国をネットワークの中枢まで支配する

米軍は、このような視点で、同盟国の選別を始めている。日本は間違いなく、②になるだろう。

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スーパーコンピュータトップリスト
http://www.top500.org/list/2007/06/
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■背景■
 アメリカ市民の貯蓄率がマイナスを示し、NYダウ、ドル為替も低迷している。これは何を示しているのだろうか。過去の歴史をみると、戦争勃発や大統領暗殺などの外因性によるマーケットの衝撃は比較的短期間で終結している。しかし、今回は911のショックでパニックになって、その後、弱気市場が終焉したというわけではなさそうである。
 現に、2002年7月23日にはダウ工業株30種平均が7702ドルまで下がり、テロ直後9月21日の底値を6.5%も下回った。その裏には、米国の構造的諸問題、すなわち、恒常的な貿易赤字、異常に割高な株価の維持、貯蓄率の低さ、そして軍事支出増加による財政赤字が横たわっている。これは短期間で調整し、解決できる問題ではない。これはアメリカからの資本逃避の兆し、つまり経済、社会運営の条件が失われ、ビジネスを行う上での基盤が失われつつあることを表してはいないか。

■経済の実態■
 具体的には、911事件以降のテロの脅威、治安悪化、治安対策に伴う保険、物流といったコスト増大、株価低迷による消費冷え込み、さらには移民の増大による社会の不安定化、人種、宗教、階級闘争の激化、疫病の流布、国際的孤立、戦争の恒常化、訴訟費用増大、経済の保護主義化、更に、経済取引や出入国への当局の監視強化を嫌ったアメリカに対する敬遠といった兆候はかなり見られるのである。
 EnronやWorldComの不正会計問題は米国の資本主義に対する信頼を決定的に失墜させ、株式市場が虚飾と不正に満ちていることを表している。更に、インドや中国への業務移転からアメリカ産業の空洞化も進行し、NYの大停電にみられる途上国並みに劣悪な社会インフラといった状況をみれば、アメリカを支える経済基盤やインフラが非常に脆い、もっと言えば崩壊の淵にあるものであることがわかる。
 有事に際してもドルが買われずに金相場が高騰していることもこの見方を裏付けている。穿った見方をすれば、米国の金融市場主導の経済は、全てこの虚飾の上に成り立っており、実態経済として、軍事航空通信産業など一部を除いて製造業については、当の昔に崩壊しているといえないか。巨額の貿易赤字は雄弁にこのことを物語る。
 もっと言えば不正な手段でしか資本市場から利益を得られないということは取りも直さず、資本市場はすでに利益を上げることができない、つまり、吸い尽くされたのではなかろうか。
 さらに米国で最大の問題は社会インフラとしての「人」にある。単純作業従事者は、英語もろくにできない移民パートタイマーに頼り、工場の生産ラインもしかり。これで社会の運営が可能か疑問なしとしない。しかも白人は近い将来マイノリティーになることが確実である。今でさえ都市部では移民の増大を嫌って白人中産階級の離脱、移民増加傾向がはなはだしい。
 一部富裕層は塀で囲った要塞町に住んでいる。全米で白人がマイノリティーになった暁には、彼らの米国からの脱出が現実化するであろう。

■累積する膨大な赤字■
 米議会予算局(CBO)は6月9日、最新の財政予想の中で、03会計年度(02年10月~03年9月)の財政赤字が4000億ドルを超す見通しであることを明らかに した。米国のこれまでの最大の財政赤字は92年度の2900億ドルだが、これを一気に1000億ドル以上塗り替えることになる。
 さらに、最近の「双子の赤字」(家計も入れて三つ子の赤字という人もいる。)について、急速に膨れ上がっている。2002年の貿易赤字は前年比21.5%増の4352億ドル(約51兆円)で過去最高であった。アメリカの負債が増え続けるのは国民の貯蓄がないためであり、借金は全て外国の資金で賄われている。
 しかし、このような借金体質でいながら、国民の投資は増えている。貯蓄がないために外国から借金して投資を行っている。更に、有事でありながら、ドルは円に対してもユーロに対しても安い。原油の決済にもユーロが使われ出した。サウジがアメリカを見限ったということであろうか。このことはドルの信用を大きく毀損させる。やはり、経済面でのドル機軸体制の「終わりの始まり」であろう。

■有事のドル安■
 現在の有事でありながらの円高ドル安の進行の裏には、米景気の立ち直りの遅れやEnron破たんなどを嫌った欧州や中東の資本が米国から流出し始めた事情がある。一般に過大評価された通貨は過小評価された通貨と比べると、一国の経済発展のスピードに鈍くなる傾向がある。米国の貿易赤字はドル安を招く要因となっているが、それ以上に景気回復を急ぐ米国がドル高を肯定し続ける理由はあまりない。
 加えて、割高な米国株式や資産に対してグローバル投資家(米国外の投資家、主に欧州中東投資家)が売り圧力を高めている。2000年の米連邦準備理事会(FRB)統計によれば、米国の証券の65%は、米国外の投資家が保有している。この保有率は1989年の49%から大幅に上昇している。米国におけるグローバル投資家の動きは為替のみならず、マーケット全体に大きな影響を及ぼすようになっている。以下は2002年8月の英紙フィナンシャル・タイムズ記事である。「サウジアラビアの対米個人投資資金のうち1000億―2000億ドル(約12兆―24兆円)が欧州に流出していると報じた。米同時テロでは実行犯19人のうち15人がサウジ国籍だったため米国とサウジの関係が緊張している。サウジ資金の流出は、サウジ側が米国内での資産運用の安全性に懸念を抱き始めたためという。」
 同紙によると、ある識者は「米国内のサウジ資産凍結を求める米国のタカ派の主張が原因」と指摘。さらに、 同時テロ犠牲者遺族がサウジ王子などを相手取り、テロ組織に資金援助していたとして15日に起こした約1兆ドルの損害賠償訴訟で、資金流出が加速する可能性も指摘している。
 金融アナリストによると、王室を含むサウジの対米個人投資資金は株式、不動産など推計4000億―6000 億ドルである。これらの指標は米国の実体経済は大部分が外国人の資本によって賄われていることを示している。このために、貿易赤字を増大させつつ、ドル高政策を取らざるを得ないのだ。逆に言えば、産業競争力の観点からは弱いドルが適正であるが、そうするとドル建て資産の流出から、海外資本引き上げに繋がるのである。この矛盾の連鎖を断たない限り、アメリカ経済に未来はない。

■金融資本■
 私見であるが、米国を主導している金融資本は現時点ではアメリカに本拠を置いてるが、本質的には国境を有しない。Neo Conservativeの暴走を含む上記の状況に鑑みてアメリカを見捨てる可能性は十分にある。
 ここに、日本と金融資本との提携の可能性があるのである。考えてみれば米国人の貯蓄率がマイナスを示し、不正手段を使ってしか資本市場から利益を得られないというのはすでに金融資本が米国から利益を吸い尽くしたことを示していると言っていいであろう。一般の米国人はこのことにどれほど気づいているのであろうか。彼らこそ金融資本によって収奪され続けたのである。年金すらもらえず、財産を株ですってしまった中産階級のなんと多いことか。
 現時点でアメリカの将来を悲観視する声はまだあまりないし、私も将来の衰退を断言するだけの情報を持ち合わせていない。しかし、最悪のシナリオとしてアメリカが国際社会から退場し保護主義、モンロー主義(建国の理念)に立ち入ったときどうすべきかを想定して対策を練る必要はある。
 今回のモンロー主義において、単純な孤立主義ではなく、ブッシュ政権下でのアメリカが世界との関わりは経済は二の次でありイラク戦で露呈されたように国際協調はありえず、米国の単独行動に賛同する国家のみを従えた上での対テロ戦争が中心になるだろう。
 ニクソンショック(1971年年8月15日に発表されたニクソン米大統領の金とドルの兌換を停止するドル防衛策。これ以降、変動相場制に移行した。)以降、ドルが金とのリンクを切られても世界の基軸通貨であったのは、アメリカの軍事力を核とする総合的な国力が信用を得ていたためである。いわば、アメリカ軍事力本位制とでもいうべき体制であった。
 イラク戦争の表面上の終結は実は対テロ、対イスラム諸国との長期戦の始まりであると考えると、今、あらゆる指標はその国力(軍事力)が衰退しており、戦後の国際秩序たるパックスアメリカーナ(アメリカの支配による国際秩序安定:ラテン語のPaxはPeaceの語源であるが、平和という意味ではなく、「強者による弱者併呑により達成された安定」が正しい訳である。)は、あらゆる面で危機に瀕していると見るべきである。
 この観点から、欧州統合は米国以後の世界を見越しての動きと見られる。米国が戦後果たしてきた世界の警察官、パワーバランサーとしての機能はもう期待できない。すなわち世界は足利幕府が応仁の乱で衰退した後に戦国時代を迎えたように、戦国化していく可能性が非常に高い。日本もアメリカ以後を見据えた世界戦略を考える必要があり、環太平洋連合はその提言である。
(江田島孔明完)
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以上
2007/08/26(日) 14:12 | URL | 孔明 #-[ 編集]
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  ●昨日の記事のつづきです。  「白村江の戦い」と「秀吉の朝鮮遠征」、そして先の大東亜戦争(太平洋戦争)から共通して得られる一つ目の教訓は、「外国と交流しすぎると戦争になる」というものでした。    
2007/08/23(木) 23:38:40 | 日々是勉強
 23日の産経紙によれば、プッシュ米大統領は退役軍人への演説において、イラク、アフガニスタンでの対テロ戦継続を訴えるに当って、「対日戦勝」の歴史を引いたとの記事があった。度々、ブッシュ大統領は「対日戦勝」の歴史
2007/08/24(金) 19:14:45 | 草莽崛起 ーPRIDE OF JAPAN
 23日の産経紙によれば、プッシュ米大統領は退役軍人への演説において、イラク、アフガニスタンでの対テロ戦継続を訴えるに当って、「対日戦勝」の歴史を引いたとの記事があった。度々、ブッシュ大統領は「対日戦勝」の歴史
2007/08/24(金) 19:14:49 | 草莽崛起 ーPRIDE OF JAPAN
  切れ切れになっている記事で済みません。●どうすれば日本は戦争をせずに済むのか(1)と、●同(2)の続きです。  白村江の戦い、秀吉の朝鮮遠征、そして大東亜戦争に共通している、三つ目の教訓はこれです。
2007/08/25(土) 01:13:50 | 日々是勉強
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